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溶射

溶射とは?

溶射とは、金属、セラミック、樹脂を溶融または半溶融状態まで加熱させて素材表面に衝突・堆積させ被膜とする表面改質技術の1種です。
溶射の「溶」は溶融させることを意味し、溶射の「射」は衝突・堆積に相当します。

溶射の特徴

  • 加熱溶融・軟化する材料であれば、殆どあらゆる材料の溶射が可能。(溶射材料の選択範囲が広い)
  • ほとんどあらゆる材料の上へ被膜が形成できる。(基材材質の選択範囲が広い)
  • 部材の形状や大きさを問わず被膜形成ができる。
  • 他の皮膜プロセスに比べて被膜形成速度が格段に大きい。(養生乾燥期間不用)
  • 被膜の厚膜成形が可能。
  • 作業が容易であり、現場施工が可能。
  • ドライプロセスであり、環境への負担が小さい。(溶剤を使用しない)
  • 長期の防食性、耐衝撃性、耐磨耗性、耐薬品性、耐熱・断熱性が期待できる。(期待耐用年数 景観維持:<40年、防食維持:<80年)(LCC軽減)

溶射による効果

  • 防腐性・防サビ性・防食性の向上

    金属被膜により、加工対象物をさびや腐食から守ることで耐久性を向上させます。
    海岸地帯などの設備や化学薬品のタンクなどに活用されています。
    酸性の環境で使う物にはアルミニウム溶射、アルカリ性の環境で使う物には亜鉛溶射など、溶射材を選択することで加工対象物の構成素材が持っていない耐食性能を付加することができます。

  • 耐熱性・耐摩耗性・絶縁性の向上

    溶射材を選択することで加工対象物の構成素材が持っていない性質に耐熱性・耐摩耗性・絶縁性能を付加したり改善することができます。

  • 塗装効果・美観性の向上

    塗装の下地処理として溶射を施すことで、金属被膜と塗装被膜の2層の被膜により腐食を防ぐことができるので、加工対象物の耐食性能や美観性を長く維持できます。
    また、加工対象物の表面に均一な金属の質感を持たせることができるため、溶射材料によっては元の材質とは全く異なるものにすることも可能です。

  • 変形や歪みの抑制

    基材に与える熱の影響が比較的少ないので、変形や歪みを起こしにくい。
    (熱影響以外の残留応力がある場合、歪みが発生します。)

  • 環境への負担を軽減

    溶剤などを使わず、ドライプロセスなので、環境への負担を小さくすることが出来ます。

代表的な溶射材料

代表溶射材料(金属編)

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材料名 性能 目的 需要分野
亜鉛 アルカリ性に強い 防錆・防食性 貯水槽
密着性が良い 鉄鋼構造物
アルミニウム・
マグネシウム
酸性に強い 高速道路の桁
耐食性が非常に良い 鉄鋼製におけるアンダーコート
SUS420 耐摩耗性に強い 耐磨耗性 各ロールのジャーナル部
仕上げ加工がしやすい 各部材の磨耗部分
WC自溶性合金 素地と化学的結合性がある 建設機械
対磨耗性が非常に良い スラリー搬送装置
ニッケルクロム 密着性が非常に良い 結合性、耐熱性 溶射のアンダーコート
耐熱性が良く硬度が有る 各種炉部品
ハステロイC 酸化、還元性雰囲気に優れる 高温耐食性 排煙脱硫装置、焼却装置
耐熱性に優れる 蟻酸反応塔、So2ガスブロー
導電性が非常に良い 導電性、殺菌性、装飾性 海水導入管
海洋生物、菌が成長出来ない 建造物、美術物

代表溶射材料(プラスチック編)

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材料名 性能 目的 需要分野
ポリエチレン 防水性が良い 電気絶縁性
耐薬品性
貯水タンク
電気絶縁性・耐油性が良い 水道配水用ポリエチレン管
ナイロン11 常用出来る耐熱温度は-40℃~100℃ 高耐薬品性
耐熱性と耐光性
自動車関連各種部品
人体に無毒無害 食品用スクリュー搬送機
エポキシ 常用出来る耐熱温度は150℃~200℃ 高温度でも軟化しない
耐摩擦性
飲料用タンクの内面
熱硬化性で硬度が有る 上下水道施設のライニング

代表溶射材料(セラミックス編)

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材料名 性能 目的 需要分野
アルミナ 電気抵抗性が高い 電気絶縁性
耐磨耗性
高周波焼入れコイル
高剛性であり、曲げ・圧縮強度も高い 半導体製造装置
チタニア セラミックスでは溶融性に優れている 光触媒持性
半導体性
静電気を嫌う摺動部部分
導電性が有る ケミカルタンク
酸化クローム 摩擦係数が低い 耐磨耗性
緻密で耐食性、耐薬品性
繊維のガイドロール、撹拌機
腐食しない パッキン部、メカニカルシール
ジルコニア 高温域にて安定している 耐熱性
断熱性
火力発電用ガスタービン
熱伝導が悪い 鋳型、湯道

溶射でできること

  • さまざまな溶射剤を選択できます

    加熱、溶解・軟化する材料であれば、ほとんどあらゆる材料の溶射が可能です。

  • さまざまな大きさ、形状のものを加工できます

    形状や大きさを問わず、あらゆる加工対象物に被膜の形成ができます。

  • さまざまな素材の物に加工ができます

    加工対象物の素材を問わず、被膜の形成ができます。他の被膜形成作業よりも、被膜形成速度が速く、また厚膜形成もできます。

  • お好きな個所にだけ加工ができます

    溶射もマスキング処理を行うことができますので、ご希望の箇所だけを加工することができます。

  • 橋梁、鉄塔などの大きな被施工物にも使用できます。また出張による現場での施工もいたします。

    溶射での注意点

    溶射は塗装と比べて被膜の接着力が弱いので、溶射の場合は必ずブラスト加工を行って接着力を高める必要があります。
    さまざまな種類の溶射材料を取り扱っておりますので、お気軽にご相談ください。

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